このインコの一団を目撃したことがきっかけで数年前、「飼
育」という短篇を書いた。外来種の鳥が東京でたくましく生
きている事実を知った主人公が、自分の家で飼っているブン
チョウを逃がす決断をするという話である。ところが今日の
『朝日新聞』のタ刊に、「お騒がせ外来生物」という連載記事
の第5回として、そのインコが写真入りで取り上げられて
いた。見出しには「こんなに増えて大丈夫?」とある。名前
は「ワカケホンセイインコ」といって東京都内にざっと
1200羽もいるのだそうだ。特に、目黒区の東京工業大学
大岡山キャンパスには集団のねぐらがあって、1200羽は
そこで夜を過こし、日の出とともに散っていくらしい。
もしこの記述が正しいとすれば、外苑のインコは夕方にな
ると目黒区まで飛んで帰るということか。一方、同じ記事に
は、この鳥は20メートル近いケヤキの大木を繁殖に使う
と書いてあったから、外苑のケヤキ(大木が何本もある)に
巣を作っているのかもしれない。